会社を変わった日から14日以内に、本人が出入国在留管理庁へ届け出る。技術・人文知識・国際業務や技能、特定技能といった在留資格で働いている人が転職したとき、入管法が義務づけているのはこの届出です。在留資格そのものは、勤務先が変わっただけで書き換わるわけではありません。
届出だけで済むのはどこまでなのか。新しい仕事が在留資格の範囲から外れると、何の申請になるのか。就労資格証明書は取るものなのか、取らなくてよいものなのか。採る側は、内定を出す前にどこまで確かめられるのか。求職者がする手続きと、採る側が確かめることは、同じ場面で対になります。
制度と期間は、2026年9月23日時点で出入国在留管理庁が公表している資料によります。どの在留資格で採るかという手前の話は4制度の使い分けに書きました。ここで扱うのは、すでに日本で働いている人が勤務先を変える場面です。
個別の判断について
本稿は制度の一般的な解説です。個別の案件について、その仕事が在留資格に該当するかどうかの判断、許可・不許可の見通し、申請書類の作成や取次ぎを行うものではありません。具体的な事案は、行政書士や弁護士、または住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。
転職で問われるのは在留資格の名前ではなく、新しい仕事が範囲に入るかどうか
在留資格は、日本で行う活動の種類ごとに決まっています。勤務先の会社名が資格に書いてあるわけではないので、会社を変わること自体は、資格の中身を変える出来事ではありません。動くのは、新しい会社で任せられる仕事が、いま持っている在留資格に該当する活動かどうか、という一点です。
入管庁のQ&Aは、在留期限が残っている状態で転職した場合について、所属機関に関する届出が必要であるとしたうえで、転職後の活動が現に有する在留資格に該当する活動であれば引き続き在留できる、と示しています。場面ごとに分けると、次の3つになります。
| 場面 | 本人がすること | 採る側が確かめること |
|---|---|---|
| 新しい仕事が、いまの在留資格の範囲に入っている | 所属機関に関する届出(14日以内) | 在留カードの在留資格と在留期間、任せる業務の中身 |
| 新しい仕事が、範囲から外れる | 在留資格変更許可申請 | 許可が出るまで就労できないため、入社日をいつに置くか |
| 特定技能で、受入れ機関が変わる | 在留資格変更許可申請 | 業務区分が同じか、技能水準の共通性が確認されている範囲か |
3つのどれに当たるかで、必要な手続きも、入社できる日も変わります。求人の段階で「在留資格をお持ちの方」とだけ書かれた募集がありますが、資格の名前だけでは、この表のどの行なのかが決まりません。
所属機関に関する届出は、事由が起きてから14日以内
届出の義務は入管法第19条の16にあり、対象になる在留資格は決まっています。契約の相手方である機関(契約機関)について届け出るのは、高度専門職1号イ・ロ、高度専門職2号(イまたはロ)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行、技能、特定技能で在留する人です。教授、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修などは、活動を行う機関(活動機関)についての届出になります。
届出が必要になる事由は5つです。
- 機関の名称が変わったとき
- 機関の所在地が変わったとき
- 機関が無くなったとき
- いまの機関から離脱したとき(契約が終了したとき)
- 新たな機関へ移籍したとき(新たに契約を結んだとき)
転職は、前の会社からの離脱と新しい会社への移籍の両方に当たります。期限は事由が生じた日から14日以内で、出入国在留管理庁電子届出システム、地方出入国在留管理局の窓口、東京出入国在留管理局への郵送のいずれかで行います。届出に契約書などの資料は必要なく、郵送のときに在留カードの写しを同封します。
入社日が決まったので先に出しておく、ということはできません。入管庁のQ&Aは、未来日を届出事由発生日とする届出はできない、としています。届け出るのは事実が起きたあとです。
更新を受けても届出は要り、変更許可を受けたら要らない
ここは入管庁のQ&Aが明確に分けています。転職と同時に在留期間更新許可を受けた場合でも、転職に係る届出は必要です。一方、転職と同時に在留資格変更許可を受けている場合は、転職に係る届出は不要とされています。
届出を忘れた場合の扱いについて、Q&Aは、届出をしなかったり嘘の届出をした場合の罰則が規定されていること、在留諸申請で不利になる場合があることを挙げ、14日を過ぎていても速やかに届け出るよう求めています。届出そのものは資料も費用も要らない手続きで、遅れを取り戻せないものではありません。
出向、派遣先の変更、ダブルワークも届出の対象
転職と呼ばない異動でも、所属機関が変われば届出が必要になります。Q&Aと入管庁の解説資料では、次のように分かれています。
| 場面 | 届出 |
|---|---|
| 同じ会社の別の支店へ異動した(国内に本店的な支店がある場合) | 不要 |
| 雇用契約はそのままで、別の会社へ出向した | 必要(離脱と移籍の両方) |
| 派遣会社は変わらず、派遣先が変わった(活動機関を届け出る資格の場合) | 必要 |
| いまの会社で働きながら、別の会社でも長期間働く | 必要(移籍として届出) |
| 所属機関は変わらず、契約の内容だけが変わった | 不要 |
グループ内の病院へ異動した場合は、病院間の異動が所属機関の変更に当たるため届出が必要です。会社の合併で新しい名称の会社になった場合は、消滅と移籍の届出になります。判断の軸は肩書でも勤務地でもなく、契約や活動の相手方が変わったかどうかに置かれています。
新しい仕事が範囲から外れるなら、在留資格変更許可申請
在留資格変更許可申請は、在留目的とする活動を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合の手続きです。申請できるのは変更の事由が生じたときから在留期間の満了日以前で、標準処理期間は1か月から2か月とされています。
採る側にとって効いてくるのは、この1か月から2か月という幅のほうです。許可が出る前に新しい会社で働き始めることはできません。内定を出した時点で変更申請が必要だと分かっているなら、入社日は許可の後ろに置くことになります。
就労資格証明書は、範囲に入っているかを先に確かめるための書類
就労資格証明書は、入管法第19条の2で定められた文書です。出入国在留管理庁長官が、本人の申請にもとづいて、その人が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を証明します。転職の場面では、新しい勤務先での仕事が、いま持っている在留資格の範囲に入っているかを、入管庁に確かめてもらう使い方になります。
標準処理期間は、入管庁のページに「当日(勤務先を変えた場合などは1か月~3か月)」と書かれています。勤務先を変えた場合は、その場では出ません。申請の提出は本人のほか、法定代理人や、雇用機関の職員・弁護士・行政書士などの取次者が行えます。
この書類には、採る側が知っておいたほうがよい条文が付いています。入管法第19条の2第2項は、外国人を雇用する等に際し、その人が行うことができる活動が明らかな場合に、この文書を提示または提出しないことを理由として不利益な取扱いをしてはならない、と定めています。就労資格証明書を出さないなら採らない、という条件の付け方は、この条文に触れます。
取ってもらうかどうかを決めるのは本人で、会社が求めてよいのは、在留カードで在留資格と在留期間を確かめることまでです。そのうえで、任せる業務が範囲に入るか判断がつかないなら、確かめる先は候補者ではなく専門家と入管のほうになります。
在留期限が近い転職は、順番の問題になる
手続きには、それぞれ別の時計が動いています。
- 在留期間更新許可申請|在留期間が6か月以上ある場合は満了日の3か月前から申請でき、標準処理期間は2週間から1か月
- 在留資格変更許可申請|変更の事由が生じたときから満了日以前に申請し、標準処理期間は1か月から2か月
- 就労資格証明書交付申請|勤務先を変えた場合などは1か月から3か月
在留期限まで半年を切ったところでの転職は、この3つの期間が重なります。どれを先に出すかは、残っている在留期間、入社の予定日、業務の中身によって変わるため、一般論で順番を決められるものではありません。ここは個別の事情を見てもらう場面で、冒頭の囲みに書いたとおり、行政書士や弁護士、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署が相談先になります。
3か月の空白は、在留資格の取消手続の対象になり得る
転職の期間を決めるもう1つの時計が、在留資格の取消しです。入管法第22条の4は、就労系の在留資格で在留する人について、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上(高度専門職2号は6か月以上)行っていない場合を取消し事由として挙げています。ただし、活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合は除かれます。
3か月に届かない段階でも、在留資格に係る活動を行っておらず、かつ他の活動を行いまたは行おうとして在留している場合は、同じく取消し事由に当たります。転職活動そのものが禁じられているわけではありませんが、退職から次が決まるまでの期間は、無制限に置けるものとして設計されていません。
特定技能の転職は、業務区分の範囲の中で起きる
特定技能は、ほかの就労資格と扱いが別です。令和7年3月11日に閣議決定された基本方針は、特定技能外国人について、分野別運用方針において定める特定産業分野の同一の業務区分内、または試験等によりその技能水準の共通性が確認されている範囲内において転職を認める、としています。同じ方針は、退職から3月を超えた場合には、正当な理由がある場合を除き在留資格の取消手続の対象となり得る、とも書いています。
手続きの形も別です。運用要領は、異なる特定技能所属機関と新たに契約を締結する場合は在留資格変更許可申請が必要となる、と明記しています。届出で済む話ではなく、許可を受けるまで新しい受入れ機関で働くことはできません。許可を受けずに稼働した場合は在留資格の取消しや退去強制の対象になる、と運用要領は受入れ機関向けの情報提供の例に挙げています。
期間の数え方も効きます。特定技能1号で在留できるのは原則5年が限度で、転職活動を行う期間や一時帰国の期間も、この5年に含まれます。採る側から見ると、目の前の候補者に残っている年数は、前の会社での在籍年数だけでは計算できないということです。制度ごとの要件は特定技能と技人国、どちらで採用すべきかに書きました。
なお、育成就労で語られる転籍は、2027年4月1日に施行される別の制度の仕組みです。いま働いている人の転職と同じ枠で考えると混乱するので、分けて扱うほうが安全です。
採る側が、内定を出す前に確かめられること
筆者は外国人材の採用に、企業側と候補者側の両方から関わっています。入社日の直前になって申請が必要だと分かり、現場の受け入れ体制を組み直す。この順番の事故は、採用の側で先に確かめておけば減らせます。
- 在留カードで、在留資格の種類と在留期間の満了日を見る
- 任せる予定の業務を具体的に書き出し、それが現に有する在留資格に該当する活動の範囲に入るかを検討する
- 範囲から外れる可能性があるなら、入社日を変更許可の後ろに置けるかを社内で決めておく
- 就労資格証明書を取るかどうかは本人が決めることとして、提出を採用の条件にしない
会社側の届出は、こう分かれます。労働施策総合推進法で外国人雇用状況の届出が義務づけられている機関は、入管庁への「中長期在留者の受入れに関する届出」の対象から除かれます。この受入れの届出について入管庁は、行わなくても刑罰を科せられることはないが、所属している外国人の在留期間更新等の許可申請時に事実関係の確認を行うなど審査を慎重に行うことがある、としています。
募集の段階でできることもあります。任せる業務を具体的に書いた求人票は、在留資格の範囲に入るかどうかを候補者の側でも判断しやすくします。書き方で応募の層が動く話は求人票の書き方で、応募してくる層が変わるに書きました。
まとめ|範囲を確かめ、届出か申請かを決め、入社日を置く
転職したときに必ず出てくるのは、事由から14日以内の所属機関に関する届出です。新しい仕事が在留資格の範囲に入っていれば、在留期限までは届出だけで働けます。範囲から外れるなら在留資格変更許可申請になり、標準処理期間は1か月から2か月。特定技能で受入れ機関が変わる場合も、届出ではなく変更許可申請です。
求職者の側は、退職から次の入社まで3か月の空白を超えない設計にしておくこと。採る側は、在留カードと業務の中身を内定前に突き合わせ、申請が要るなら入社日を許可の後ろに置くこと。この2つが噛み合えば、手続きで採用が止まる場面はかなり減ります。そのうえで自社の事案が範囲に入るかどうかは、冒頭の囲みのとおり、行政書士や弁護士、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に確かめてください。
よくある質問
転職したら在留資格の変更は必要ですか
入管庁のQ&Aは、転職しても在留期限が残っている場合について、所属機関に関する届出が必要であるとしたうえで、転職後の活動が現に有する在留資格に該当する活動であれば引き続き在留できる、としています。該当しない活動に就く場合は在留資格変更許可申請が必要です。個別の業務が範囲に入るかどうかの判断は、行政書士や弁護士、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。
届出は本人と会社のどちらがするのですか
所属機関に関する届出は、外国人本人が行う届出です。事由が生じた日から14日以内に、電子届出システム、地方出入国在留管理局の窓口、東京出入国在留管理局への郵送のいずれかで行います。会社側は、労働施策総合推進法にもとづく外国人雇用状況の届出が義務づけられている機関であれば、入管庁への中長期在留者の受入れに関する届出の対象から除かれます。
就労資格証明書は必ず取らなければいけませんか
就労資格証明書は、本人の申請にもとづいて交付される文書です。入管法第19条の2第2項は、外国人を雇用する等に際し、その人が行うことができる活動が明らかな場合に、この文書を提示または提出しないことを理由として不利益な取扱いをしてはならないと定めています。標準処理期間は、勤務先を変えた場合などは1か月から3か月とされています。
退職してから次の会社が決まるまで、どれくらい空けられますか
入管法第22条の4は、就労系の在留資格で在留する人が、その在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合を在留資格の取消し事由としています。活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合は除かれます。特定技能については、基本方針が、退職から3月を超えた場合には正当な理由がある場合を除き在留資格の取消手続の対象となり得る、としています。
特定技能で転職するときは何が違いますか
基本方針は、同一の業務区分内、または試験等により技能水準の共通性が確認されている範囲内での転職を認めています。運用要領は、異なる特定技能所属機関と新たに契約を締結する場合は在留資格変更許可申請が必要になるとしており、許可を受けるまで新しい受入れ機関で働くことはできません。特定技能1号で在留できる期間は原則5年が限度で、転職活動を行う期間や一時帰国の期間も含めて数えられます。
出典
※本稿は2026年9月23日時点の公開情報にもとづきます。届出の対象となる在留資格と届出事由は入管庁の解説資料「所属機関に関する届出(入管法第19条の16第1号及び第2号)について」、在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請の申請期間・標準処理期間は同庁の各手続ページ、中長期在留者の受入れに関する届出の取扱いは同庁の該当ページ、特定技能の転職の範囲は「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」(令和7年3月11日閣議決定)、受入れ機関を変える場合の申請と通算期間の数え方は「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)で確認しています。

