職務経歴書、採用側は何を見ているか|求人票と照らす資料であり、面接の台本でもある

採用側から見た転職
記事内に広告が含まれています。

職務経歴書の下書きが、在籍した会社と担当業務を年表のように並べただけで終わる。あるいは、熱意を込めた自己PRの作文になる。どちらも時間をかけて書いたものなのに、書類選考の通過につながらないことがあります。

採る側は、その書類を何のために読んでいるのか。判断が決まるのは、書類のどの欄か。それなら書く側は、何を変えればよいのか。この3つを順に見ます。

根拠にするのは、ハローワークが公開している応募書類の作り方の資料と、厚生労働省のジョブ・カードの様式、それに転職サービスのdodaが採用担当者2,000人に聞いた調査です。書類が通ったあとの面接で何を見られているかは面接で見られている3つに書きました。ここで扱うのは、その手前の書類の段階です。

採る側は、職務経歴書を2つの目的で読んでいる

ハローワークの冊子「職務経歴書」には、企業が履歴書のほかに職務経歴書を求める理由が書かれています。応募者が自社の求める職務経験や能力を持っているかどうかを判断するため。冊子はこの書類を、応募先企業が採用・不採用を決定する際の判断材料と位置づけています。

判断の物差しは、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」にあります。採用選考は、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準に行う、というものです。読む側が探しているのは、その人の人柄の全体ではありません。自社が出した求人の仕事を、この人がこなせるか。これが1つ目の読み方になります。

もう1つは、面接の準備です。同じ冊子によれば、面接では職務経歴書の内容に基づいて質問をされることが多い。だから、どんな質問がされるか、どう答えるかまで想定して書くよう勧めています。書類が通れば、その紙はそのまま面接官の手元に残る。どの行に質問の印が付くかを決めているのは、書いた本人です。

読まれ方採る側がしていること書く側に効くこと
求人票と照らす資料求人の仕事をこなせるかを、必須の要件から順に確かめる求人票の言葉に対応する経験を、見つけやすい場所に置く
面接の台本書かれた行のなかから、深掘りする質問を選ぶ聞かれたら具体的に話せる行だけを書く

読む時間は「5分以上10分未満」が最多で、重視されるのは職歴の欄

dodaが2025年9月8日〜11日に行ったインターネット調査では、中途採用の選考に関わる22〜59歳の2,000人が回答しました。1人分の職務経歴書のチェックにかける時間は「5分以上10分未満」が32.2%で最も多く、「1分未満」は2.6%。数十秒で読み捨てられているわけではありません。

一方で、10分未満の回答を足し合わせると68.5%になります。A4で1〜2枚の書類を求人票と並べて確かめるには足りても、書き手の意図を汲み取ってあげる余裕まではない時間でしょう。

その時間で何を見ているのか。同じ調査で職務経歴書の「最も重視する項目」を聞くと、「職務経歴・職務内容(職歴)」が43.4%でいちばん多く、「活かせる知識・スキル」の19.3%が続きました。「自己PR」を挙げた人は3.2%にとどまります。職歴を重視する理由としてdodaの記事が紹介しているのも、「経験・実績のマッチングの確認」という声でした。

マイナスの印象につながる項目(複数回答)の上位も、同じ方向を指しています。「ミスや誤字・脱字が多い」47.2%、「応募要件に合致しない」45.1%、「職務経歴書や履歴書の内容が不十分」40.5%。作文に力を入れるより、職歴の欄で求人の要件との重なりを見せるほうが、採る側の読み方に沿っています。

職務要約は、どこから読めばよいかを先に渡す欄

同じ調査で「職務要約・職務概要」を最も重視すると答えた人は、11.4%でした。公的な資料でも、要約は必須の項目ではありません。ハローワークの冊子にある記載項目の一覧で必須とされているのは、冒頭の標題・日付・氏名と、職務経歴です。職歴概要(見出しの例は略歴・経歴概略・要約)は、自分で選んで加える項目の1つとして載っています。厚生労働省のジョブ・カード準拠様式の職務経歴書には、要約の欄そのものがありません。

それでも筆者は、職歴が2社以上にわたるなら要約を置くことを勧めます。要約で採否が決まるからではありません。限られた時間のなかで、読む側が職歴のどこから読むかを決める欄だからです。要約に求人票の必須要件と重なる経験が書いてあれば、読む側は職歴の欄でその裏付けを探しにいきます。書いていなければ、年表を上から順に読み、重なりを自分で探すことになる。

架空の例で比べます。応募先は、法人営業の経験3年以上を必須とし、入社後は既存顧客の深耕を任せたい求人だとします。

要約の形例(架空)読む側の手元に残るもの
年表を縮めた形2016年に株式会社〇〇へ入社し、営業部に配属。2020年に□□株式会社へ転職し、営業職として現在に至る。在籍した会社と年数だけ
自己PRになった形お客様第一の姿勢で、どんな困難にも粘り強く取り組んできました。貴社でもこれまでの経験を活かして貢献します。意欲は伝わるが、要件との重なりは分からない
求人票と対応させた形法人営業9年(うち既存顧客の担当6年)。製造業(従業員100〜300名)の約40社を担当し、2024年度は担当顧客の取引額を前年度比112%に伸ばしました。必須要件の法人営業3年以上と、任せたい既存顧客の深耕の両方に、冒頭の1文で印が付く

3つ目の要約は、上手な文章ではありません。それでも読む側は、求人票の2か所に対応する経験を、職歴の欄に入る前に見つけられます。

担当した業務より、どんな条件で何をしてどうなったか

担当業務の羅列が弱いのは、同じ肩書きの人なら誰でも書ける内容だからです。「法人営業を担当」とあっても、相手の規模も件数も、その人が任されていた範囲も分からない。

公的な資料も、担当だけを書けとは言っていません。ハローワークの冊子は、職務内容の欄に書くものとして仕事の具体的内容、処理方法、責任の範囲を挙げています。顧客・取扱製品の種類や商品の数、使用機器、技術も付記できる。実績の欄は、可能であれば営業成績などの成果指標の数値を書く欄です。ジョブ・カードの職務経歴シートも注意事項で、従事した職務の内容とともに可能な限り果たした役割や貢献したことを書くよう求めています。

採る側から見ると、これらは再現性を測る材料です。面接で見られている3つのうちの再現性、つまり入社後にも同じ動きが出てくるかを、書類の段階で推し量る手がかりになります。条件が書いてあれば、自社の状況に置き換えられる。行動が書いてあれば入社後の動きを想像でき、結果が書いてあればその行動が効いたのかを確かめられます。

書き方例(架空)
担当を書いた行既存顧客への営業を担当。
条件・行動・結果を書いた行既存顧客約40社(製造業、従業員100〜300名)を担当。年1回だった訪問を、取引額の大きい12社については四半期ごとの定例に切り替え、設備の更新時期に合わせて先回りの提案を行った。2024年度の担当顧客の取引額は前年度比112%。

この並びは、面接で話すときのSTAR話法と同じです。状況(Situation)と課題(Task)が条件、行動(Action)が自分のしたこと、結果(Result)がどうなったか。書類の行と面接で話す中身が同じ形なら、面接官は書類の行をそのまま質問に変えられます。

求人票の言葉と、職務経歴書の言葉を対応させる

採る側の手元には、自社が出した求人票があります。必須の要件、歓迎する要件、任せる仕事の中身。職務経歴書は、その横に置かれて読まれる紙です。

ハローワークの応募書類のパンフレットは、履歴書の書き方の章に、こんな助言を載せています。職務内容を書き添えるときは、応募先企業の求人票の「仕事の内容」欄に記載された表現を使うと、採用担当者に対するアピール力が増す場合がある。職務経歴書の冊子でも、応募先が複数の職種を募集している場合などは、応募職種の欄に求人票の求人職種名をそのまま簡潔に書く、という扱いです。

読む側は、自社の言葉で経験を探しています。求人票に「既存顧客の深耕」と書いた担当者が、職務経歴書で「ルート営業」とだけ書かれた行に出会うと、同じ仕事かどうかを自分で判断しなければなりません。10分に満たない時間で読まれることの多い書類で、その判断を何度も求めるのは、読み手に負担をかけるだけです。

照らし合わせる手順も、冊子に書かれています。まず求人票や企業のホームページから、応募先が何を求めているかを集める。次に、自分が応募条件を満たしているかを確かめる。満たしきれていない場合は、求める経験や能力の一部やそれに類似するものがないかという観点で、書ける経験を探します。

求人票のどの行が必須で、どの行が歓迎なのか。これは採る側にとって、誰を落とすかの線引きです(企業の側から見た話は求人票の書き方で、応募してくる層が変わる)。必須の行に対応する経験は、職務要約と職歴の欄の両方に置く。歓迎の行に対応する経験は、職歴の欄か「活かせる知識・スキル」の欄で足ります。これだけで、読む側が印を付ける場所が揃います。

全部書けば、どれかが引っかかるわけではない

これまでの仕事を漏れなく書いておけば、どれかが求人に引っかかる。そう考えて、職務経歴書が3枚、4枚と伸びていくことがあります。

読む側から見ると、これは逆に働きかねません。ハローワークの冊子は、記載内容が多い場合に長々と書くと、読みにくく焦点がぼけてかえってアピールにつながらないことにもなる、と注意しています。求められているのはメリハリをつけた記載で、分量の目安はA4縦の紙1〜2枚程度です。

求人の要件に関係しない行は、読む側にとって判断の材料になりません。そのうえ、関係する行を探す時間を削ります。詳しく書くほど有利なのではなく、求人に関係する行が見つけやすいほど有利。削った経験は捨てずに、手元に残しておけば足ります。

冊子が紹介しているのは、職務経歴や能力をすべて網羅したマスターシートを1つ作っておき、応募先ごとに必要な事項を取捨選択するやり方です。同じ内容を複数の応募先に使い回すことは適当でない、とまで書かれています。

書いた行は、面接で質問になって返ってくる

筆者は外国人材の採用に、企業側と候補者側の両方から関わっています。見聞きする範囲では、面接官が職務経歴書に印や書き込みをしてから面接に臨むことは珍しくありません。書類選考が終わっても、職務経歴書の役目は終わらない。

冊子が、完成した職務経歴書のコピーを取っておき、面接前に見直すよう勧めているのもそのためです。記載内容を忘れたり、それと矛盾する受け答えをしたりしないように、という理由が添えられています。

ここから逆算すると、書く行には1つ条件が付きます。聞かれたら具体的に話せる行だけを書くことです。「業務改善を推進」と書けば、何をどう改善したのかを聞かれる。「売上前年比120%」と書けば、その数字がその組織でどれくらい難しかったのかを聞かれます(物差しの話はSTAR話法の記事で書きました)。具体的に話せない行は、面接で掘られて崩れる行になります。

逆に、話したい経験があるなら、その入口を書類に置いておけます。面接官が持っているのは、限られた時間と手元の書類だけ。質問されたい経験を、書類のどこにどの言葉で置くか。面接の台本を書く作業に近いものです。

退職理由も同じ考え方で扱えます。冊子の扱いは、「一身上の都合により退職」などのように簡単に書き、具体的な理由を伝えたいときはていねいに書く、というものです。前向きな表現を心がけ、前の会社の批判は厳禁。書類に書いた理由は、そのまま面接で深掘りされる入口になります。理由そのものの組み立て方は転職理由は「他律」と「自律」で組み立てるにまとめました。

本籍や家族のことは、書く欄を作らなくてよい

職務経歴書は様式が自由な分、何をどこまで書くかで迷うことがあります。書かなくてよいものの線を引いているのは、厚生労働省です。

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」によれば、適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねたりして把握することは、就職差別につながるおそれがあります。挙がっている例は次のとおりです。

区分例
本人に責任のない事項本籍・出生地、家族(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)、住宅状況、生活環境・家庭環境
本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書

採る側は、こうした事項で採否を決めないよう求められている立場です。職務経歴書に書いたところで、選考の材料にしてよい情報ではありません。ハローワークのパンフレットに載っている履歴書の記載例でも、性別欄は記載が任意で、未記載も可能とされています。

外国籍の人が書くときに、足しておきたいこと

就労の在留資格で日本に住んでいる人が転職するときは、書類の読まれ方がもう1つ増えます。出入国在留管理庁のQ&Aによると、転職して在留期限が残っている場合に要るのは所属機関に関する届出です。転職後の活動が現に有する在留資格に該当する活動であれば、引き続き在留できます。採る側は、任せる予定の仕事がその範囲に入るかどうかも気にかけることになる(届出と手続きの流れは転職するとき、在留資格はどうなるのか)。

そのとき採る側の手元にある材料の1つが、職務経歴書の職務内容の欄です。担当した仕事が具体的に書かれていれば、新しい仕事とのつながりも説明しやすくなる。母国の会社での経験を書くなら、事業内容や従業員数、扱っていた製品やサービスを添えておくと、日本の読み手にも規模が伝わります。ハローワークの冊子にも、読み手が理解しにくい専門的な用語や内容には括弧書きで説明を付記する、とあります。

個別の判断について

本稿は職務経歴書の書き方の一般的な説明です。個別の仕事が在留資格に該当するかどうかの判断や、許可の見通しを示すものではありません。具体的な事案は、行政書士や弁護士、または住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。

出す前に、求人票を横に置いて見直す3つ

書き終えたら、応募する求人の求人票を横に置いて、次の3つを確かめてから出してください。

  • 職務要約の最初の2行に、求人票の必須要件に対応する経験が、求人票と同じ言葉で入っているか。
  • 職歴の各行に、担当した業務だけでなく、条件(相手・規模・範囲)と自分の行動、その結果が書いてあるか。
  • 書いた行のどれを聞かれても、面接で具体的に話せるか。

最後に、応募職種名が求人票の表記どおりかを見て、誤字・脱字がないかを声に出して読み返す。マイナスの印象につながる項目の1位は、先の調査でも誤字・脱字でした。

よくある質問

職務経歴書は何枚くらいにまとめればよいですか

ハローワークの冊子「職務経歴書」によると、A4縦サイズの紙1〜2枚程度に、パソコンで横書きで作るのが一般的です。工事経歴一覧や開発担当プロジェクト一覧、作品集などを別紙で付けるなら、その分の枚数は若干増えても差し支えないとされています。読む側の時間を考えると、枚数を増やすより、求人の要件に関係する行を見つけやすくするほうが先です。

応募先ごとに書き直す必要はありますか

ゼロから書き直す必要はありませんが、中身は応募先ごとに変えるのが基本です。ハローワークの冊子は、職務経歴書の内容は基本的に応募先企業によって異なるものになるとして、同じ内容の使い回しを適当でないとしています。手間を減らす方法として紹介されているのが、職務経歴や能力をすべて網羅したマスターシートを作っておき、応募先ごとに必要な事項を取捨選択するやり方です。

職務要約は必ず書かなければいけませんか

必須ではありません。ハローワークの冊子で必須とされているのは、冒頭の標題・日付・氏名と職務経歴です。職歴概要(要約)は、自分で選んで加える項目の1つ。厚生労働省のジョブ・カード準拠様式の職務経歴書にも、要約の欄はありません。ただ、職歴が2社以上にわたるなら、求人の必須要件に対応する経験を冒頭の数行にまとめておくと、読む側がどこから読むかを決めやすくなります。

数字で示せる実績がない仕事は、どう書けばよいですか

ハローワークの冊子では、成果指標の数値を書くのは「可能であれば」という扱いです。数字がなければ、職務内容の欄を厚くします。仕事の具体的な内容と処理の方法、責任の範囲を書き、扱った製品や使った機器も添える。ジョブ・カードの職務経歴シートも、職務の内容とともに、可能な限り果たした役割や貢献したことを書くよう求めています。

家族構成や本籍は書いたほうがよいですか

書く必要はありません。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、本籍・出生地や家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)といった、適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させて把握することを、就職差別につながるおそれがあるものとして挙げています。採る側が採否の判断に使わないよう求められている情報です。

出典

※本稿は2026年9月28日時点の公表情報にもとづきます。求人票の「仕事の内容」欄の表現を使う助言と、履歴書の性別欄の扱いはハローワークインターネットサービス「応募書類」(PDF)、職務経歴シートの注意事項と職務経歴書(ジョブ・カード準拠様式)の記入欄はマイジョブ・カード「ジョブ・カード様式のダウンロード」、転職したときの届出と在留の扱いは出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」で確認しています。職務要約・職務経歴の例は、説明のために作った架空のものです。

タイトルとURLをコピーしました