外国人材を採ると決めると、最初に制度の名前が4つ並びます。技能実習と特定技能、技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)、2027年4月1日に始まる育成就労です。
自社の仕事は、どの制度なら受け入れられるのか。1人に何年いてもらえて、家族は呼べるのか。試験に通った人を採るのと、3年かけて育てるのとでは何が違うのか。2027年3月31日で新規の計画認定申請が締め切られる技能実習を、いま選ぶ意味はあるのか。この4つを、4制度を横に並べたうえで順に確かめます。
制度ごとの細かい条件は、当サイトの個別の記事に書いてあります。ここで扱うのは制度と制度の境目と、自社がどこから入るかの分かれ道です。数字と日付は、2026年9月18日時点で出入国在留管理庁と外国人技能実習機構が公表している資料によります。
4つの制度を1枚の表に並べる
出入国在留管理庁の「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年7月1日更新)にある3制度の比較に、技人国を加えました。育成就労の列は、2027年4月1日の施行後に適用される内容です。
| 項目 | 技能実習 | 育成就労(2027年4月1日から) | 特定技能1号 | 技人国 |
|---|---|---|---|---|
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人手不足分野での人材の育成と確保 | 人手不足分野での即戦力の受け入れ | 専門的な知識・技術を使う業務での受け入れ |
| 任せられる仕事 | 移行対象の職種・作業 | 17分野の業務区分 | 19分野の業務区分 | 学術上の素養を背景とする専門的な業務(現場作業そのものは対象外) |
| 入口の要件 | 技能・日本語の試験なし(介護職種のみ日本語要件あり) | 就労開始前にA1相当の試験に合格、またはA1相当の講習を受講(介護分野などは上乗せあり) | 技能試験と日本語試験(A2.2相当以上)に合格(技能実習2号の良好修了者は免除) | 業務に関連する専攻での卒業、または10年以上の実務経験など |
| 在留の長さ | 1号1年以内・2号2年以内・3号2年以内(合計で最長5年) | 原則3年(終了時の試験に不合格なら最長1年の延長あり) | 通算5年が上限(例外は後述) | 5年・3年・1年・3月のいずれかで、更新回数の上限なし |
| 家族の帯同 | 不可(家族滞在の対象外) | 原則不可 | 基本的に不可 | 可能(配偶者と子は「家族滞在」) |
| 転籍・転職 | 原則不可(倒産などやむを得ない場合と、2号から3号への移行時は可) | やむを得ない場合のほか、転籍制限期間などの条件を満たせば本人の意向で可 | 同一の業務区分内などで可 | 同じ在留資格に当たる業務なら可 |
| 受け入れ側の体制 | 監理団体(許可制)の監理を受ける | 監理支援機関(許可制)と組み、育成就労計画の認定を受ける | 支援計画を作成して実施(全部を登録支援機関に委託できる) | 支援義務なし |
| 人数の上限 | 常勤職員の総数に応じた企業ごとの人数枠 | 分野ごとの受入れ見込数と、常勤職員の総数に応じた人数枠 | 分野ごとの受入れ見込数(企業ごとの枠は一部の分野のみ) | なし |
この表は、上から順に読むより、どの行で自社の選択肢が消えるかを探すほうが役に立ちます。消える順番はおおむね決まっていて、以下の4つの分かれ道がそれにあたります。
1つ目の分かれ道は、任せる仕事が現場か専門か
技人国とほかの3制度を分けるのは、任せる仕事の中身です。技人国の対象は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的な業務で、製造ラインや建設現場での作業そのものは入りません。技能実習・育成就労・特定技能の3つは、反対に現場の業務を前提に作られています。
技人国には分野の縛りも受入れ見込数もありません。任せたい仕事が専門的な業務に当たるなら、この先の分野や枠の話はほぼ関係なくなります。当たるかどうかの線引きと判断の単位は、特定技能と技人国、どちらで採用すべきかに書きました。
応募者に学歴があるから技人国で、という順番で考えると、ここで行き詰まります。在留資格を決めるのは本人の経歴より先に業務の中身で、学歴は要件の一部です。
2つ目の分かれ道は、その仕事が分野に入っているか
現場の仕事なら、次に見るのは分野です。特定技能の特定産業分野は19分野、育成就労の育成就労産業分野は17分野で、どちらも令和8年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で決まりました。17分野は、19分野から自動車運送業と航空を除いたものです。
同じ「分野」でも数が違うので、自社の業務が自動車運送業に当たるなら、育成就労という入口はありません。航空は育成就労に加える案が2026年9月9日の有識者会議に示されましたが、決定ではなく、閣議決定は12月をめどとされている段階です(育成就労に「航空」分野が追加される方向)。
技能実習は分野ではなく「職種・作業」の単位で決まっていて、そのまま育成就労に引き継がれるわけではありません。入管庁の育成就労制度Q&Aによると、令和8年1月23日の分野別運用方針で育成就労の対象にならなかった技能実習2号の職種が3つあります。クリーニング(一般家庭用クリーニング作業)・空港グランドハンドリング・ボイラーメンテナンス(ボイラーメンテナンス作業)です。3職種とも、追加の必要性は引き続き所管の省庁が検討するとされていて、このうち空港グランドハンドリングが上の航空分野の追加案につながっています。
現場の仕事で19分野のどれにも当たらない場合、技能実習の対象職種でなければ、3制度のどれも入口になりません。
3つ目の分かれ道は、育てる時間を持てるか
分野に入っていれば、特定技能1号と育成就労のどちらも候補になります。両者を分けるのは、入国の時点で技能を求めるかどうかです。入管庁のQ&Aの説明では、特定技能は一定の専門性や技能を持つ即戦力を想定しています。育成就労では、入国時点でそうした専門性や技能は求められません。
特定技能1号は、技能試験と日本語試験(A2.2相当以上)に通った人を採る制度です。受け入れた企業は支援計画を作って実施し、その全部を登録支援機関に委託することもできます。
育成就労は、未経験の人を3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度で、そのぶん受け入れる側の段取りが増えます。
- 監理支援機関と組む(技能実習の監理団体も、許可を取り直さなければ監理支援機関になれない)
- 3年分の育成就労計画を作って認定を受ける(施行日前申請は2026年9月1日から受付中)
- 就労開始前のA1相当と、3年間でA2相当を目標にした日本語講習の担い手を決める
- 転籍制限期間を過ぎた本人が、条件を満たして他社へ移る可能性を織り込む
中身はそれぞれ、計画認定の申請時期を育成就労の計画認定申請が9月1日開始、講習の時間数を育成就労の日本語要件、転籍の条件と転籍制限期間の選び方を技能実習から育成就労で何が変わるかにまとめています。
筆者は外国人材の採用に、企業側と候補者側の両方から関わっています。この分かれ道で決め手になるのは、制度の中身の比較より、現場に教える人を3年置けるかどうかです。試験に通った人が見つかりにくい分野ほど育成就労が候補に上がりますが、教える人がいなければ3年分の計画は書けません。
いま技能実習を選ぶと、何年いてもらえるのか
技能実習で新しく人を迎えられる期限は決まっています。2027年4月1日以降も技能実習を続けられるのは、その時点で来日している技能実習生と、2027年3月31日までに計画の認定申請をして原則6月30日までに実習を始める人です(入管庁のQ&A)。外国人技能実習機構は、1号技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう求めています。
見落とされやすいのは、この時期に入る人の在留の長さです。技能実習3号へ移るには、2027年4月1日の時点で技能実習2号の活動を1年以上行っていることが要件とされています。いまから1号で受け入れる人は、この日までに2号を1年続けられません。1号の1年以内と2号の2年以内を合わせた、最長3年が区切りになります。
3年後の行き先は残っています。育成就労が始まった後も当分の間は、技能実習2号の良好修了者で、これから就く業務と2号の職種・作業に関連性が認められる人なら特定技能1号へ移れるとされています。この場合、特定技能1号の技能試験と日本語試験は免除です。一方、育成就労から特定技能1号へ移るときは、技能試験とA2相当以上の日本語試験(日本語能力試験N4など)の合格が要件です。
| 項目 | 2027年3月までに申請する技能実習 | 2027年4月からの育成就労 |
|---|---|---|
| 在留の長さ | 1号と2号で最長3年(3号へは移れない) | 原則3年 |
| 本人の意向による転籍 | 原則不可 | 転籍制限期間などの条件を満たせば可 |
| 入口の日本語 | 要件なし(介護職種を除く) | A1相当の試験に合格、または講習を受講 |
| 特定技能1号へ移るとき | 2号の良好修了で試験免除(当分の間、業務の関連性が条件) | 技能試験とA2相当以上の日本語試験に合格 |
| 申請の時期 | 1号計画の認定申請は2027年2月までに(機構の要請) | 施行日前申請を2026年9月1日から受付 |
どちらを選ぶかは、分野の事情と自社の段取りで変わります。転籍の起きない3年と、特定技能への試験免除を重く見るなら、技能実習の駆け込みには意味があります。その代わり、2027年3月の年度末は技能実習の締め切りと育成就労の施行が重なり、申請が集中しやすい時期です。この重なりの読み方は育成就労の計画認定申請が9月1日開始で書きました。
4つ目の分かれ道は、何年いてほしいか
長く働いてほしいなら、入口より先に出口を見ます。4制度とその先にある特定技能2号を、在留の長さと家族の帯同で並べるとこうなります。
- 技能実習:1号から3号まで合計で最長5年(いまからの受け入れは最長3年)、家族の帯同は不可
- 育成就労:原則3年で、特定技能1号への移行が前提、家族の帯同は原則不可
- 特定技能1号:通算5年が上限、家族の帯同は基本的に不可
- 特定技能2号:更新回数の上限なし、要件を満たせば配偶者と子の帯同も可
- 技人国:更新回数の上限なし、配偶者と子は「家族滞在」で帯同可
特定技能1号の通算5年には例外がありますが、6年まで認められる場面は限られています。入管庁の「通算在留期間」のページが示す取扱いの対象は、次のすべてを満たす人です。
- 特定技能2号の評価試験などに不合格となり、2号への移行に必要なすべての試験で合格基準点の8割以上を取っている
- 本人が、合格に向けて受験することなどを誓約している
- 受け入れ機関に、引き続き雇用する意思と、合格に向けた指導・研修・支援の体制がある
そのうえで、5年を超える在留に相当の理由があると認められたときに限り、6年を上限に許可されます。
特定技能2号で受け入れられるのは、19分野のうち一部の分野・業務区分です。2号まで続かない分野では、特定技能1号の通算5年が実質的な出口になります。
在留が長くなれば、更新の回数も増えます。2026年10月1日からは、在留資格の変更と在留期間の更新の手数料が在留期間に応じた段階制になります。窓口申請で最大75,000円(これまでは6,000円)、永住許可は200,000円(同10,000円)です。2026年9月30日までに受け付けられた申請は改定前の額です。誰が負担するかも含めた整理は在留手数料が最大20倍ににあります。
受け入れの枠は、どの制度を選んでも付いてくる
特定技能1号と育成就労には分野ごとの受入れ見込数があり、入管庁はこれを受け入れの上限として運用するとしています。令和11年3月末までの見込数は、特定技能1号が805,700人、育成就労が426,200人です。
上限を超えることが見込まれると、特定技能1号は在留資格認定証明書の交付、育成就労は育成就労計画の認定が一時的に停止されます。その分野では、すでに雇用契約を結んでいても、原則として新たに入国できません。特定技能の外食業では2026年4月にこの停止が実際に始まっていて、経緯は特定技能と技人国、どちらで採用すべきかで触れました。
企業ごとの人数枠も制度で違います。技能実習と育成就労は、常勤職員の総数で受け入れ人数の枠が決まる仕組みです。特定技能1号には企業ごとの枠が原則ありませんが、介護・建設・漁業などの分野では、分野ごとの上乗せ基準で受け入れ人数に上限が設けられています。
自社がどこから入るか、分かれ道を並べ直す
- 専門的な知識を使う仕事を任せたい|技人国が候補です。分野や受入れ見込数の制約はなく、学歴や実務経験と業務の関連が問われます。
- 現場の仕事で、試験に通った人を採りたい|特定技能1号が候補です。19分野の業務区分に当たるかと、その分野の枠がどこまで埋まっているかを先に確かめます。
- 現場の仕事で、未経験の人を3年かけて育てたい|2027年4月からの育成就労が候補です。17分野に入っているかと、組む監理支援機関が許可を得ているかが入口になります。
- 2027年3月までに現場へ人を入れたい|技能実習の申請期限がまだ残っています。いまからの受け入れは最長3年で、3号へは移れません。
- 5年を超えて、家族ごと長く働いてほしい|技人国か、特定技能2号まで続く分野かで決まります。
- 現場の仕事だが、どの分野・職種にも当たらない|4制度のどれも入口になりません。永住者や定住者など、就労に制限のない在留資格を持つ人を採る道は別にあります。
最後の行は、外国人材に限った話ではありません。日本人だけでは埋まらない現場の席に、誰がどこから動いてくるのかは事務から現場へ動くと何が変わるかで書きました。
この分岐は制度の一般的な整理です。個々の業務が在留資格に当たるかどうかは、行政書士や弁護士、または地方出入国在留管理官署に確認してください。
まとめ|仕事、分野、育てる時間、出口の順に決める
4つの制度は並べて優劣を比べるより、順番に選択肢を消していくほうが早く決まります。任せる仕事が専門か現場か。現場なら、分野に入っているか。入っていれば、試験に通った人を採るか、3年かけて育てるか。最後に、何年いてほしいか。
技能実習だけは、この順番に締め切りが加わります。外国人技能実習機構が1号計画の認定申請を2027年2月までに求めている以上、技能実習を使うかどうかを決める時間は、あと5か月ほどです。まずは任せたい業務を1行で書き出し、上の表のどの行で選択肢が消えるかを確かめてみてください。
よくある質問
技能実習は2027年4月以降も使えますか
新しく受け入れられるのは、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請をして、原則6月30日までに実習を始める人までです。2027年4月1日の時点ですでに来日している技能実習生は、認定された計画に沿って実習を続けられます。外国人技能実習機構は、1号技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう求めています。
育成就労と特定技能の対象分野は同じですか
同じではありません。特定技能の特定産業分野は19分野、育成就労の育成就労産業分野は17分野で、17分野は19分野から自動車運送業と航空を除いたものです。航空を育成就労に加える案は2026年9月9日の有識者会議に示されましたが、閣議決定は12月をめどとされており、まだ決まっていません。
特定技能1号で5年を超えて働くことはできますか
通算5年が上限です。6年まで認められるのは、特定技能2号の評価試験などに不合格となった人のうち、2号への移行に必要なすべての試験で合格基準点の8割以上を取っているなどの要件を満たし相当の理由があると認められた場合に限られます。5年を超えて働き続けるには、特定技能2号への移行などを検討することになります。
育成就労で受け入れた人は、3年後にどうなりますか
特定技能1号への移行が前提の制度です。移行するには、技能試験(技能検定3級や特定技能1号評価試験など)と、A2相当以上の日本語試験(日本語能力試験N4など)の合格が要件になります。試験に不合格となった場合は、最長1年の範囲で在留の継続が認められる可能性があります。
家族を呼んで働いてもらえるのは、どの制度ですか
技人国は配偶者と子が「家族滞在」で帯同でき、特定技能2号も要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能です。技能実習と育成就労、特定技能1号は、家族の帯同が基本的に認められていません。個別の可否は、行政書士や弁護士、または地方出入国在留管理官署にご確認ください。
個別の判断について
本稿は制度の一般的な解説です。個別の案件について、在留資格に該当するかどうかの判断や申請の可否をお答えすることはできません。具体的な事案は、行政書士や弁護士、または住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。制度の全体像についてのご質問はお問い合わせからお送りいただければ、一般的な範囲でお答えします。
出典
※本稿は2026年9月18日時点の公開情報にもとづきます。特定技能1号の通算在留期間は出入国在留管理庁「通算在留期間」のページで確認しています。分野ごとの受け入れ人数の上限は同「特定産業分野・育成就労産業分野及び業務区分一覧」、家族の帯同は在留資格「家族滞在」、在留手数料は「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」で確認しています。

