特定技能1号で人を採ると決めると、次に選ぶのは支援を委託する相手です。出入国在留管理庁が公開している登録支援機関登録簿には、2026年9月17日現在で11,615件が載っています。
この中から候補を数件まで絞る手がかりはどこにあるのか。見積りの金額は、何と何を比べればよいのか。契約する前に、相手に何を見せてもらえるのか。委託したあと、自社に残る仕事は何か。この4つを、絞り込みから契約前の確かめ方までの順に並べました。
数字と要件は、2026年9月21日時点で出入国在留管理庁が公表している登録簿と運用要領によります。どの制度で採るかという手前の話は4制度の使い分けに書きました。ここで扱うのは、特定技能1号を選んだあとの委託先の話です。
登録支援機関は11,615件、登録簿に載っているのは10欄
登録支援機関の一覧は、入管法第19条の28で出入国在留管理庁長官が一般の閲覧に供することとされています。実際には入管庁のサイトにExcelファイルが置かれ、全件がダウンロードできます。2026年9月17日現在で11,615件。登録を抹消された機関は載りません。名前が載っているということは、その時点で登録が生きているということです。
載っている欄は、次の10個です。
| 登録簿の欄 | 中身 |
|---|---|
| 1 登録番号 | 19登-000002のように、登録された年が頭に付く |
| 2 登録年月日 | 登録された日付で、ここから5年で有効期間が切れる |
| 3 氏名又は名称 | 法人名または個人名 |
| 4 住所 | 郵便番号、所在地、電話番号 |
| 5 代表者氏名 | 代表者の氏名 |
| 6 支援を行う事務所 | 名称、郵便番号、所在地 |
| 7 支援業務の内容及びその実施方法 | 法令に定める支援内容だけか、任意的な支援も行うかのチェック |
| 8 支援業務を開始する予定年月日 | 支援を始める予定の日付 |
| 9 相談に応じる体制の概要 | 対応可能言語 |
| 10 備考 | 支援業務の休止の届出などが入る |
逆に言うと、ここに無いものがあります。支援した人数、行方不明者の数、委託費、分野ごとの実績。実績のある機関を選ぶという言い方はよく見かけますが、その実績を確かめる先は登録簿ではなく、各機関が事務所に備えている帳簿のほうです。
1つ目の見方|対応言語と事務所の場所で機械的に絞る
登録簿の9番目の欄には、その機関が対応できる言語が書かれています。2026年9月17日現在の登録簿を筆者が集計すると、記載の多い順にこうなりました。
| 言語 | 記載している機関数 |
|---|---|
| ベトナム語 | 7,335 |
| 英語 | 6,127 |
| インドネシア語 | 4,506 |
| 中国語 | 4,489 |
| ミャンマー語 | 2,980 |
| ネパール語 | 2,172 |
| タガログ語 | 1,493 |
| タイ語 | 916 |
1言語しか書いていない機関が2,635件あります。全体の2割強です。採りたい国籍が決まっているなら、この欄だけで候補は一気に減ります。
言語は体裁の問題ではありません。運用要領は、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談や苦情への対応、定期的な面談の4つを、外国人が十分に理解することができる言語で行うよう求めています。母国語に限られませんが、内容を余すことなく理解できる言語であることが条件です。込み入った相談では通訳人の介在が不可欠だとも書かれています。
相談体制については、24時間の即時対応までは求められない一方、複数の職員を確保して勤務日に週3日以上、休日に1日以上対応し、相談しやすい就業時間外にも応じられることが求められています。この水準を満たせるかどうかは、事務所の人数と言語の組み合わせで決まります。
事務所の場所も効きます。定期的な面談は3か月に1回以上、支援責任者または支援担当者が、本人と上司それぞれに対して行います。オンライン会議システムでの実施も可能ですが、本人が対面を希望した場合は対面に戻す必要があり、オンラインで行ったときは録画を雇用契約の終了日から1年以上保管する義務が付きます。自社の事業所から遠い機関を選ぶと、この往復が委託費に乗ってきます。
2つ目の見方|義務的支援10項目のうち、どこを任せるのか
1号特定技能外国人への支援は、必ず行う義務的支援と、行うことが望ましい任意的支援に分かれます。義務的支援は10項目あり、全部を行わなければ支援計画を適正に実施したことになりません。
- 事前ガイダンス|在留資格認定証明書の交付申請前または在留資格変更許可申請前に、雇用契約の内容、日本で行える活動、上陸と在留の条件などの情報を提供します。対面またはテレビ電話などで行います。
- 出入国する際の送迎|入国時は空港などから事業所または住居まで、帰国時は空港の保安検査場まで送迎し、同行します。
- 住居の確保と生活に必要な契約の支援|連帯保証人になる、社宅を提供するなどのほか、銀行口座の開設や携帯電話の契約を補助します。
- 生活オリエンテーション|日本のルールとマナー、公共機関の利用方法、災害時の対応などを伝えます。
- 公的手続などへの同行|住居地、社会保障、税などの手続に同行し、書類の作成を補助します。
- 日本語学習の機会の提供|日本語教室の案内や、教材の情報提供を行います。
- 相談や苦情への対応|外国人が十分に理解することができる言語で相談を受け、必要な助言をします。
- 日本人との交流促進|自治会との交流や地域行事への参加を案内し、補助します。
- 転職支援|受入れ側の都合で雇用契約を解除するとき、転職先を探す支援や推薦状の作成を行い、求職活動のための有給休暇を与えます。
- 定期的な面談と行政機関への通報|支援責任者または支援担当者が本人と上司それぞれと3か月に1回以上面談し、労働関係法令の違反を知ったときは労働基準監督署などに通報します。
この10項目の全部を登録支援機関に委託すると、受入れ機関は支援体制の基準に適合しているとみなされます(入管法第2条の5第5項)。一部だけを委託した場合、残りは自社が基準を満たすことになります。全部委託するか、自社で体制を作るか、という二択に近い形です。
全部委託しても、支援計画そのものを作るのは受入れ機関の仕事です。登録支援機関が作成を補助することはできますが、名義は自社に残ります。
任意的支援のほうは、登録簿の7番目の欄で分かります。2026年9月17日現在で、上記に加え任意的な支援内容ありにチェックが入っていたのは1,587件、全体の13.7%でした(筆者集計)。残る86.3%は、法令に定める義務的支援を行うという届出だけです。定着支援をうたう機関に当たったら、その中身が登録簿のどちらに入っているかを聞くと話が早くなります。
もうひとつ、委託を受けた登録支援機関は、その支援の実施を別の機関に再委託できません。通訳を頼む、送迎にタクシーを使うといった履行補助は認められますが、支援そのものを他社へ回すのは入管法第19条の30第1項に違反し、登録取消しの対象になります。
3つ目の見方|委託費に上限はなく、内訳を示す義務だけがある
委託費の相場を並べた記事は多いのですが、運用要領には、支援委託費用について法令上の上限はない、と書かれています。代わりに置かれているのが明示の義務です。
支援の全部委託の契約を結ぶとき、登録支援機関は受入れ機関に対して費用の額とその内訳を示さなければなりません。示すこととしていない者は登録拒否事由に当たります(入管法施行規則第19条の21第8号)。確認に使われるのは、参考様式第2-8号「支援委託手数料に係る説明書(予定費用)」という書類です。見積りを頼むときに様式の名前を出せば、相手は何を求められているか分かります。
運用要領は、委託費が外国人の人数や事業所の数と場所で変わるとしたうえで、複数の登録支援機関から見積りをとるなどして内容を十分に確認し、契約後にトラブルが生じないよう留意することを求めています。金額だけを横に並べても比べられないので、内訳は義務的支援10項目の粒度で出してもらうのが早道です。とくに次の費目は、含まれているのか別請求なのかで総額が変わります。
- 通訳費|事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談や苦情への対応、定期的な面談で使う通訳の費用
- 定期的な面談の実費|3か月に1回、事業所まで来るのか、オンラインで行うのか
- 同行を伴う支援|公的手続への同行、住居の契約、銀行口座の開設や携帯電話の契約の補助
- 出入国時の送迎|空港までの交通費と、入国や帰国のたびに発生する人件費
- 人材の紹介|支援の委託とは別の契約になるもので、支援委託費には含まれない
なお、義務的支援に要する費用は、直接にも間接にも外国人に負担させられません。通訳費も出入国時の送迎の交通費も、会社側の負担です。住宅の賃貸料などの実費を必要な限度で本人に負担させるのは別扱いですが、支援費を給与から差し引くような設計は登録拒否事由に当たります。見積りに本人負担の欄があれば、その時点で契約の前提が崩れています。
面談で確かめられること、見送る判断につながること
筆者は外国人材の採用に、企業側と候補者側の両方から関わっています。支援機関との顔合わせは、条件を聞く場というより、相手がどこまで答えられるかを見る場になります。採用面接で候補者の話の一貫性と再現性を見るのと、やっていることは同じです。
登録支援機関には、支援業務の実施状況に関する文書を作成し、支援した外国人の雇用契約の終了日から1年以上、事務所に備え置く義務があります。この帳簿に何を書くかは運用要領で決まっていて、次のものが含まれます。
- 支援実績|毎月における支援人数と、行方不明者数
- 職員数|常勤と非常勤の内訳
- 対応可能な言語と、その言語による相談担当者に関する事項(委託契約書、通訳人名簿)
- 支援責任者と支援担当者の身分事項、役職、経歴(履歴書、就任承諾書)
- 支援経費の収支に関する事項(支援委託費を含む)
登録簿に無かった実績は、ここにあります。全部を見せる義務が相手にあるわけではありませんが、毎月の支援人数と行方不明者数を帳簿でどう管理しているかを聞けば、備えているかどうかは伝わってきます。
中立性の要件も、顔合わせの場で確かめられます。支援責任者には、受入れ機関の役員の配偶者、2親等内の親族、役員と社会生活において密接な関係を有する者は選任できません。過去5年間にその受入れ機関の役員または職員だった人も同じです。グループ会社に支援を任せたいという相談では、ここが最初の関門になります。
登録年月日も見ておく欄です。登録は5年で切れ、更新申請は有効期間の満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに行う決まりになっています。登録年月日から5年が近い相手には、更新の予定を確かめておくと安心です。備考欄も見ます。2026年9月17日現在の登録簿では、37件に支援業務の休止の届出などが記載されていました(筆者集計)。
見送る判断につながるのは、次の3つです。
- 見積りの内訳を出さない|費用の額と内訳を示さないことは、それ自体が登録拒否事由に当たります。
- 定期的な面談を誰がどの言語でどこで行うのか答えられない|面談は支援責任者または支援担当者しかできず、第三者に委託できない仕事です。
- 支援の一部を提携先に回すと言う|受託した支援の再委託は禁止されていて、登録取消しの対象になります。
もうひとつ。うちなら許可が下りる、この内容なら通る、と言い切る相手には、その根拠を聞いてください。個別の案件について在留資格に該当するかどうか、申請が通るかどうかを判断できるのは、行政書士や弁護士、または地方出入国在留管理官署です。登録支援機関の役割は支援であって、可否の保証ではありません。
全部委託しても、自社から消えない仕事
委託すれば手が離れる、とは言えない部分が3つ残ります。
1つ目は支援計画の作成です。全部委託でも作成者は受入れ機関で、登録支援機関から補助を受けるだけです。
2つ目は届出です。登録支援機関は1年に1度、支援業務の実施状況を届け出ますが、これは委託元の受入れ機関を経由し、連名で提出する形になっています。中身を知らないまま名前だけ並べる、という運用はできません。実施予定だった支援を行わなかった場合や、面談をきっかけに労働基準監督署へ通報した場合、非自発的離職者に転職支援を行った場合には、別に特異事案の報告が14日以内に必要です。
3つ目はリスクです。登録支援機関の登録が取り消されると、委託していた1号特定技能外国人の在留資格該当性が失われる可能性がある、と運用要領は書いています。取消しの事由は、登録拒否事由に該当することになった、届出義務を果たさなかった、委託された支援を行わなかった、不正の手段で登録を受けた、求められた報告に虚偽があった、の5つです。取り消された機関は5年間、再び登録を受けられません。支援業務の廃止の届出があった場合も登録は効力を失い、そのときは自社で支援するか、別の登録支援機関と契約し直すことになります。
ここまで自社に残るなら、いっそ自社で支援するという道もあります。全部委託をしない場合は自社が基準に適合していることが必要で、支援責任者と支援担当者の選任、十分に理解できる言語での情報提供と相談の体制、3か月に1回以上の面談の体制が要件になります。受入れ人数が増えるほど、委託費と自社の人件費の比較は現実味を帯びます。特定技能と技人国のどちらで採るかを決める段階から、支援を誰がやるかは計算に入れておく話です。
育成就労の監理支援機関とは、別の制度の別の仕組み
名前が似ているので混ざりますが、登録支援機関は特定技能1号の仕組みです。2027年4月1日に始まる育成就労で技能実習の監理団体を引き継ぐのは監理支援機関で、こちらは登録制ではなく許可制になります。根拠となる法律も要件も別で、登録支援機関に登録しているからといって監理支援機関になれるわけではありません。
両方を手がける事業者は出てきますが、契約は制度ごとに分かれます。育成就労で何が変わるかは技能実習から育成就労で何が変わるかにまとめてあります。
まとめ|登録簿で絞り、義務的支援で聞き、内訳で決める
11,615件を上から読む必要はありません。対応言語と事務所の場所で候補を数件に落とし、義務的支援10項目のどこを誰がやるかを聞き、費用の額と内訳を様式で出してもらう。この3手で、やっと比べられる形になります。
相手が登録支援機関である以上、義務的支援の中身は同じです。差が出るのは、その10項目を実際に回す人と言語と距離、そして金額の内訳の出し方です。まずは入管庁の登録支援機関登録簿を開いて、自社の都道府県と、採用したい国籍の言語で絞ってみてください。候補は思ったより少なくなります。
よくある質問
登録支援機関への委託は必須ですか
必須ではありません。受入れ機関が自社で1号特定技能外国人支援を行うこともできます。ただし支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は支援体制の基準に適合しているとみなされ(入管法第2条の5第5項)、自社で行う場合や一部だけを委託する場合は、支援責任者と支援担当者の選任、外国人が十分に理解することができる言語での情報提供と相談の体制、3か月に1回以上の面談の体制を、自社で満たす必要があります。
登録支援機関の一覧はどこで見られますか
出入国在留管理庁のサイトで、登録支援機関登録簿がExcelファイルとして公開されています。2026年9月17日現在で11,615件が掲載されています。載っているのは、登録番号、登録年月日、氏名又は名称、住所、代表者氏名、支援を行う事務所、支援業務の内容及びその実施方法、支援業務を開始する予定年月日、相談に応じる体制の概要(対応可能言語)、備考の10項目です。登録を抹消された機関は掲載されません。
登録支援機関の委託費の相場はいくらですか
公的に示された相場はありません。運用要領は、支援委託費用に法令上の上限はないとしたうえで、契約の際に費用の額と内訳を受入れ機関に明示することを登録支援機関に求めています。額と内訳を示さないことは登録拒否事由に当たります。費用は支援の対象となる人数や事業所の数と場所によって変わるため、複数の機関から見積りをとって内容を十分に確認するよう運用要領は求めています。なお、義務的支援に要する費用を外国人に負担させることはできません。
委託先の登録支援機関が支援をやめたらどうなりますか
登録支援機関は支援業務を休止または廃止したとき、その日から14日以内に届け出る必要があり、廃止の届出があると登録は効力を失います。その場合、受入れ機関は自ら支援を実施するか、別の登録支援機関と支援委託契約を結び直すことになります。登録が取り消された場合には、委託していた1号特定技能外国人の在留資格該当性が失われる可能性がある、と運用要領に記されています。
登録支援機関と監理支援機関は同じものですか
別のものです。登録支援機関は特定技能1号の支援を受託する機関で、出入国在留管理庁への登録制です。監理支援機関は2027年4月1日に施行される育成就労で技能実習の監理団体を引き継ぐ機関で、許可制になります。根拠となる法律も要件も別で、一方の資格が他方に引き継がれるわけではありません。
個別の判断について
本稿は制度の一般的な解説です。個別の案件について、在留資格に該当するかどうかの判断や申請の可否をお答えすることはできません。また、特定の登録支援機関を推薦するものでもありません。具体的な事案は、行政書士や弁護士、または住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にご相談ください。制度の全体像についてのご質問はお問い合わせからお送りいただければ、一般的な範囲でお答えします。
出典
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
- 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年9月17日現在 11,615件)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(2026年8月20日更新)
※本稿は2026年9月21日時点の公開情報にもとづきます。義務的支援10項目の内容、外国人が十分に理解することができる言語、定期的な面談、費用負担の考え方は、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)で確認しています。登録支援機関の件数、対応可能言語の内訳、任意的支援の有無、備考欄の集計は、同庁が公開する登録支援機関登録簿(2026年9月17日現在)のファイルを筆者が集計したものです。

